生きもの千夜一話 by 金井塚務

大型ほ乳類の生態学的研究に関するエッセイ、身の回りの自然、旅先で考えたことなどをつれづれに書き連ねました。

クマ

ツキノワグマ問題を考える-真の原因は?

柿の木に登るクマ 2004年 テレビでも新聞でも今年のクマによる人身被害が頻発しているとの報道が相次いでいる。特にテレビでは同じ画像を繰り返し、視聴者の恐怖心をあおることに腐心しているかのようだ。それに対して、山の実りの不作が原因との識者のコメント…

吉和トラスト候補地探訪

このところの座骨神経痛に加えて、諸般の事情からフィールドワークから少しばかり遠ざかっていたが、久しぶりに吉和(廿日市市)の山林を探索する機会を得た。この山林はこれまで歩いてきた細見谷渓畔林とは全く趣を異にした明るい二次林(いわゆる里山)なのだが、…

大規模再エネ事業か、それとも美しい農村風景かー農村の未来を問う2 加美町

加美町の風力発電建設地―撮影:日本熊森協会本部 水見竜哉 宮城県北西部に位置する加美町は、奥羽山脈の東縁に位置し、農業を主産業とする町である。鳴瀬川とその支流である田川に挟まれた地域には平坦な堆積層が広がり水田地帯となっている。どこか砺波平野の散…

渓畔林へは入れず―芸北漫遊の一日

さる自然保護団体が10月下旬に、クマ関連の講演会(くまもりカフェin広島)を企画しており、それに続く現地観察会を細見谷渓畔林で行いたいので、協力してほしいとの依頼があった。初版の事象があってこのところ細見谷へ入っていなかったので下見に行くことにした。…

クマにあったらどうする?マニュアルを信用するな!

この秋はクマの話題に事欠かない。今年は特に都市部へのクマの出没と人身事故の多発しているという。私のところへも時折新聞者やテレビ局から取材がある。多くはその原因についての見解を求める内容なのだが、必ず、「クマと出会ったらどうしたら良いのでし…

細見谷調査余録

中国地方も梅雨入りしたというが、ほとんど雨らしい雨もなく毎日が晴天、いわゆる五月晴れが続いている。本格的な梅雨になる前に自動撮影装置の点検とデータの回収をするために細見谷へとやってきた。林道に車を止めて目的の沢へと斜面を下る。緑を濃くした…

HFMエコロジーニュース116(通算273号)

クマ調査での思わぬ発見 10月下旬から11月初旬にかけて、細見谷川流域ではゴギの産卵シーズンとなる。この時期にクマがゴギを求めて小さな沢にやってくるということはこれまでにも何度か報告している。しかしながら、魚影の薄い昨今ではなかなかその現場をつ…

細見谷にクマの痕跡を追って-HFM エコロジーニュース115

年々歳々、ツキノワグマの中核的生息地と言われている、細見谷流域でも痕跡が希薄になりつつある。その一方で、集落周辺への出没が問題視されているのも事実である。クマの集落への出没は、多くの場合、個体数の増加と山の実りの多寡と関連づけて報道されて…

HFMエコロジーニュース114

難航した細見谷調査行 細見谷渓畔林を舞台に、某TV番組の取材が進行している。ここに生息しているツキノワグマの生態もその対象となっており、真夏の渓畔林に稔るウワミズザクラの果実を目当てにやってくるクマの姿を記録するために設置したカメラを回収すべ…

HFMエコロジーニュース111(268)

2014-05-28 11:19:47 | ニュース 鳥獣保護法改定-個体数管理では解決しない野生生物の保全 2014年5月23日に鳥獣保護法が一部改正された。今後は「改正法案では、集中的に頭数を管理する必要があるシカやイノシシなどの鳥獣を環境相が指定、都道府県や国が捕…