生きもの千夜一話 by 金井塚務

大型ほ乳類の生態学的研究に関するエッセイ、身の回りの自然、旅先で考えたことなどをつれづれに書き連ねました。

植物

暇つぶしの散歩―西国街道―

私の住んでいる団地は宮島の対岸の小山を造成したせいで、団地から見る景色はなかなかのものである。海辺でもあり、高台でもあるので厳島神社の朱の大鳥居も遠望できる。まさにリゾート地かつ適度な田舎で、災害も少なく本当に暮らしやすいところなのである。都会…

やんばるの森事情5-枯れ木の効能

前回は森林の皆伐がノグチゲラの生活の脅威となっていることを指摘しておいたが、今回は枯れ木の効用について考えてみよう。 長い間伐採を逃れてきたやんばるの森を覗いてみると、写真の様な太い枯れ木が林内に点在していることに気づく。これらはおそらく、…

やんばるの森事情 3 森は生物の暮らしの場

前回はオキナワウラジロガシについてでしたが、少しだけ補足しておきます。 やんばるに産する樹木はたいてい成長が速く、材質が柔らかく耐久性に問題が有り、建築材などには余り適していない。そのかなではオキナワウラジロガシ、イジュ、モッコク、イヌマキ…

大野権現山周辺のベニマンサク

2018年6月2日土曜日、天気も良く久しぶりに地元の大野権現山へ出かけてみた。ほぼ25年ぶりのことだ。大野自然観察の森の駐車場に車を置いて、約2Kmほどの旧佐伯町との町境にある標高699.2mで旧大野町最高峰となる。 大野自然観察の森は1984年から環境省が主…

細見谷調査余録

中国地方も梅雨入りしたというが、ほとんど雨らしい雨もなく毎日が晴天、いわゆる五月晴れが続いている。本格的な梅雨になる前に自動撮影装置の点検とデータの回収をするために細見谷へとやってきた。林道に車を止めて目的の沢へと斜面を下る。緑を濃くした…

タムシバについて考える-HFMエコロジーニュース116

季節の移ろいは速い。特に春はそうだ。駆け足でやってきて、あっという間に通り過ぎてしまう。私は宮島の対岸に居をかまえているのだが、4月上旬にはすでに花は散り葉桜の趣を見せ始めている。しかし同じ廿日市市内でも北部吉和地区は標高も高いこともあって…