生きもの千夜一話 by 金井塚務

大型ほ乳類の生態学的研究に関するエッセイ、身の回りの自然、旅先で考えたことなどをつれづれに書き連ねました。

2017-01-01から1年間の記事一覧

宮島のシカとサル-シカザル人形と色楊枝

財団法人日本モンキーセンター(当時)によってにニホンザル47頭が香川県小豆島から宮島へ移されたのが1962年のことである。それからおよそ40年の間、ロープウエイの終点駅付近に設けられた餌場でニホンザルを観察することができたてきた。このニホンザルこ…

圧倒的な観察力が魅力

いま、沖縄本島北部のやんばるは世界自然遺産登録のためのIUCNの現地調査が行われようとしている。世界遺産に登録されようがされまいが、ここの特異性や希少性は世界に冠たるものとして後世に残していかねばならない。そうしたかけがえのないやんばるの生物…

エゾナキウサギ

ーアマチュアリズムの結晶ー エゾナキウサギはとても魅力的な生きものである。私はニホンザルの研究者として本州以南をフィールドとしていたが、このエゾナキウサギは名前が示すとおり、その生息地は北海道にある。したがって、ニホンザルのフィールドワーク…

細見谷地域にシカ現る

2017年9月15日 ここ広島県西部地域も風18号が接近しつつあり、細見谷渓畔林域に設置してあるクマの生態調査用自動撮影装置を避難させるため現地へ趣いた。前回メンテナンスをしたのが、8月12日だったからほぼ一月ぶりとなる。比較的好天に恵まれていたが、さ…

生物多様性に配慮した人工林の間伐施業を目指してー細見谷渓畔林

先日、細見谷渓畔林域の人工林の間伐をどのように進めるかという点について、広島森林管理署から意見を聞きたいとの申し出が有り、広島森林管理署署長以下、総括森林整備官、主任森林整備官の来訪を受けました。 細見谷を縦貫する計画だった大規模林道(緑資…

細見谷調査余録

中国地方も梅雨入りしたというが、ほとんど雨らしい雨もなく毎日が晴天、いわゆる五月晴れが続いている。本格的な梅雨になる前に自動撮影装置の点検とデータの回収をするために細見谷へとやってきた。林道に車を止めて目的の沢へと斜面を下る。緑を濃くした…

アサリ漁民となってみたーアサリ養殖は儲からないが役に立つ

「アッサリー、シンジミ」 春ともなると早朝の街中をアサリやシジミを売り歩く行商人の掛け声が響いたものです。今は昔、昭和30年代はじめの頃の話です。少し耳の遠いご隠居さんは、朝から「あっさりー死んじめぇ」 とは縁起でもねぇと言ったとか言わなかっ…

ちょっとした違和感ー推薦できない水仙の道

季節の移ろいは早いもので、ここ瀬戸内では葉桜を楽しむ季節となった。対岸の宮島の森のあちこちにサクラやザイフリボクの花のぼんぼりが見えていたのが、今日は既に花も散り、すっかり萌葱色となった樹林に溶け込んでしまっている。 すっかり春めいているの…