生きもの千夜一話 by 金井塚務

大型ほ乳類の生態学的研究に関するエッセイ、身の回りの自然、旅先で考えたことなどをつれづれに書き連ねました。

2022-01-01から1年間の記事一覧

大規模再エネ事業か、それとも美しい農村風景かー農村の未来を問う2 加美町

加美町の風力発電建設地―撮影:日本熊森協会本部 水見竜哉 宮城県北西部に位置する加美町は、奥羽山脈の東縁に位置し、農業を主産業とする町である。鳴瀬川とその支流である田川に挟まれた地域には平坦な堆積層が広がり水田地帯となっている。どこか砺波平野の散…

大規模再エネ事業か、それとも美しい農村風景かー農村の未来を問う

メガソーラー&大規模風力発電計画が目白押しの東北地方宮城県の丸森町、加美町へ現地視察とシンポジウムに招かれて行ってきた。成瀬ダム問題以後、久しぶりの東北なので、用事が済んだあとは、仙山線、奥羽線、米坂線、羽越線を乗り継いで、山寺と村上市(新潟)のサケ…

渓畔林へは入れず―芸北漫遊の一日

さる自然保護団体が10月下旬に、クマ関連の講演会(くまもりカフェin広島)を企画しており、それに続く現地観察会を細見谷渓畔林で行いたいので、協力してほしいとの依頼があった。初版の事象があってこのところ細見谷へ入っていなかったので下見に行くことにした。…

故安倍晋三元総理の国葬に県知事・県会議長の参加の中止を求める(監査請求) 意見陳述

広島県の有志が集まり、理不尽な「故安倍晋三元総理」の国葬に異議申し立てをし、その国葬に広島県知事&広島県議会議長の参加の中止を求める「住民監査請求」をおこしました。 その件に関して、9月21日(水)午後4時から口頭陳述があり、意見を述べてきました。 この制度…

Web-博物館ー細見谷渓畔林4 モリアオガエル

湿地である細見谷渓畔林はモリアオガエルの生息にうってつけの森である。6月半ばの細見谷を歩けば、そこかしこから、 カヮルル・ガヮルルとやや低くくぐもった野太いモリアオガエルの鳴き声が聞こえてくる。こう書いても実際の鳴き声を表現することは難しいので…

野生動物の法獣医学 浅川満彦 著 地人書館 

歴史と旅のルポライターで数々の難事件を解決するのは、浅見光彦。一方、獣医学の知見を武器に野生動物の死因を解明するのが、浅川満彦さん。 実在の獣医学者(寄生虫学)である。 近年,野生鳥獣が媒介する感染症(人獣共通感染症)が話題となっているが、つい数十年ほ…

Web博物館ー細見谷渓畔林3  渓畔林昔話

細見谷渓畔林は生物多様性に富む貴重な渓畔林であることに間違いは無いのですが、しかし最近の状況を見ていると大分劣化が進んでいるように見えます。一口で言えば生きものの気配が年々薄くなっているということです。生物量(バイオマス)の系統的継続的なデータ…

Web博物館ー細見谷渓畔林2 積雪期の細見谷

広島県北西部は日本海に近く、生物地理学的にも日本海型の特徴を持っていると言われている。つまり冬期の積雪の影響を受ける地域と言うことである。細見谷は旧吉和村、現在の廿日市市吉和という行政区に位置している。水系としては太田川水系の源流域にあたる。ち…

Web博物館ー細見谷渓畔林1ー生物多様性のホットスポット・

1992年4月中頃だと記憶している。ツキノワグマのレテメトリー調査をしていた米田さんから誘われて、セスナ機に乗ったことがある。1時間のフライトで一人10000円。米田さんの調査費節約のための協力フライトである。広島県西部の西中国山地上空を飛んでクマに装着…