生きもの千夜一話 by 金井塚務

大型ほ乳類の生態学的研究に関するエッセイ、身の回りの自然、旅先で考えたことなどをつれづれに書き連ねました。

2021-01-01から1年間の記事一覧

くまがしの里とメガソーラー

正面が葛城山、右手には信貴山、遠くの山並みは吉野の山並み 小高い丘の上にたつ宿舎の窓からは、黄昏の染まる空に遠く吉野の山並み、そして近くにはなだらかにしてひときわ大きな葛城山が目に飛び込んでくる。よく目をこらすと、優美な葛城山の手前には二上山、そ…

森林生態系を破壊するメガソーラー・風力発電計画

ナキウサギふぁんくらぶ会報「ナキウサギつうしん No93 」より転載 愛媛県佐多岬半島の尾根筋に林立する風車。近くに伊方原子力発電がある。 (2019年,金井塚撮影) はじめに―再生エネルギー計画の問題点 2021 年 8 月のお盆は西日本を中心にかつて無い集中…

世界自然遺産登勧告ーその是非を問う

ついにと言うか、とうとうと言うか、政府から推薦されていた「奄美大島・徳之島・沖縄島北部および西表島」について、IUCN(国際自然保護連合)からの世界自然遺産登録を勧告するとの評価が下された。正式な決定は、この7月に開催されるユネスコ世界遺産委員会の決定ま…

絶滅危惧種ー東南アジアの霊長類 奥田達哉

昨日、予約しておいた写真集「絶滅の危機種ー東南アジアの霊長類 奥田 達哉」が届きました。異色の経歴をもつ写真家の奥田さんは2年間にわたり、東南アジアの霊長類に焦点を絞って撮影してきたという。 私も霊長類学を志して50年になるが、その頃から森林棲の霊長…

馬毛島基地(仮称)建設事業に係る 環境影響評価方法書に関する意見

九州の南端からおよそ40キロメートル南東の海上に平らな種子島という島がある。鉄砲伝来やロケット発射基地(種子島宇宙センター)などでよく知られた島であるその種子島の東10キロメートルほどのところに、馬毛島という無人島がある。今は無人島と為っているが、…

カモシカ調査の思い出-下北半島

上野発の夜行急行「十和田」、今はもうありません。上野から常磐線経由で青森まで12時間ほどの夜行急行だ。座席は硬く、背もたれは垂直の旧型客車で乗り心地はお世辞にもいいとはいえない。一日一往復、19時過ぎに上野駅を出発する。1976年の頃だったと思う。当時学生…

西中国山地における風力発電計画に対する意見書(アセス方法書)

「(仮称)広島西ウインドファーム事業環境影響評価方法書」 が縦覧されています。 意見書の受付もしていると言うことで、何の役にも立たないのを承知で簡単な意見書を提出してみます。 これって本当に何の役にも立たない「やりました。聞きました」というだけの制…