生きもの千夜一話 by 金井塚務

大型ほ乳類の生態学的研究に関するエッセイ、身の回りの自然、旅先で考えたことなどをつれづれに書き連ねました。

2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

与えるサルと食べるシカ 辻大和著 地人書館

久しぶりに生態学におけるフィールドワークの面白さを伝えてくれる本が出ました。実を言うと、この本が出たことを知ってはいたのですが、買おうかやめようか迷っていたのですが、著者の辻さんから、私の子供向け科学読み物「ニホンザル」を読みたいので送ってくださ…

野生生物保全論を考える-コンゴ共和国 西原智昭著

西原智昭著 増補改訂版 現代書館 2300円 2020年 昨今、生物多様性を守るということで、野生生物保全論がもてはやされている。その反面、現実には生物多様性は日々失われているのも現実である。保全論をうたう大学の講座には大きく二つの流れがある。一つは生態学的…

原始林のたまご

忘れもしない1991年9月27日深夜、猛烈な風雨で目が覚めた。台風19号による暴風雨でガレージの柱が折れ、それが寝室の窓ガラスを突き破ったのだ。私は鉄鋸をもって外に出て、アルミ製の柱を切断した。家の外壁には飛んできた瓦が突き刺さるなど、大きな被害をうけた。…

足下の山の神-倒潰したツガを偲んで

私の作業デスクの下には、長さ30cmほどの丸太が転がっている。足置きに便利なもので、特に夏は重宝している。直径10cmほどのツガの枝で堅くて重い。 2009年4月雪解け間もない細見谷渓畔林の入り口に鎮座する「山の神」の祠の脇にそびえていたのだが、枯れて倒潰して…